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A市が、B氏に対するサービスを負担減少分だけ減らすことは、きわめて困難である(たとえば、B氏宅だけを消防サービスの対象からはずすことは、できないだろう。
このことを、「公共サービスの排除不能性」と呼んでいる)。
したがって、B氏は、応分の負担を免れることになる。
つまり、A市のサービスに「ただ乗り」することになるのである。
一般に、税金の使い方に関して、個々の納税者は直接には指示できない。
税の使い方や納税先は、個々の納税者の判断ではなく、全体の決定に委ねられているのである。
行為自体がどんなに望ましくても、それによって集団の他のメンバーに迷惑がかかるのなら、個人の判断に任せてはならない。
公的なプロセスを経た集団的な決定としなければならない。
どんなことにも当てはまる一般的な原則である。
地方財政の基本方向としてどちらを取るかにかかわらず、要求されることだ。
この大原則を破れば、公的施策一般に関して破壊的な影響が及ぶ。
生活実態のない地域への住民票の移動が許されないのは、以上のような理由による。
前長野県知事のTY夫氏が住民票を県南部の村に移したが、地裁で認められず、最高裁判所はTY氏の上告を棄却した。
「住所は生活実態のある本拠とすべきでありそこに納税義務も負う」というのが裁判所の示した理由である。
この判断にもかかわらず「ふるさと納税」を認めれば、論理の一貫性が保てない。
2007年6月13日の「A新聞」で、元軽井沢町議のIK氏がこのことを指摘している。
以上で述べたことの例外は、寄付金の場合だけだ。
そこで、寄付金税制を活用すればよいということになった。
ここにも大きな問題がある。
地方自治か中央集権か「ふるさと納税」の第二の問題は、地方自治の原則に関連する。
これについて論じるために、まず、地方財政のあり方について次の2つの考えがありうることを説明しよう。
第一は、各地方政府が徴収と使用について独自に決定できる財源を持ち、それによって支出を賄うのが望ましいという考えだ。
「地方自治的な考え」と呼ぶことにしよう。
この方式が望ましいと考えられるのは、次の理由による。
地方政府が無駄な経費を切り詰め、あるいは事業を効率化するなどの努力をすれば、低い住民負担で高い住民サービスを提供できるだろう。
そうした自治体には企業や住民が集まり、さらに財政力が増すだろう(「足による投票」と呼ばれる)。
したがって、地方政府間の競争を通じて望ましい状態が実現されるとし、この方式では自治体間の財政格差が拡大する可能性がある。
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